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選挙と指定席券売機と勉強会

朝ごはんがなくて喫茶店にモーニングへ。そのあと病院を経由し、佐賀県議員選挙の期日前投票に。

投票所の出口にNHKの出口調査に2人待ちかまえていた。出口といっても市庁舎内だよ。前もいたけれど、市は入れないでほしい。タブレット端末をかかえた女性が「タッチするだけですみますので!」と声をかけてきたけれど、お断りした。出口調査に協力する気にはなれない。投票の秘密は守られるべきだし、開票を骨抜きにする行為に協力するなんてナンセンスだからだ。出口調査にかぎらず、投票先は基本的にだれにも言わない。

地方議会選挙の投票はいつも悩む。地縁がなく、候補者の情報をほとんどもちあわせていないからだ。投票先を選ぶ基準は、候補者の属性がマイノリティであること。与党より野党、高齢者より若年層、男性より女性。それだけで議員の多様性が増すことを信じる。もちろん政策も選挙公報でチェックする。ただ選挙公報では、現職か新人かもよくわからないのでなんとかしてほしい。ポスターはみないし、候補者のウェブサイトをわざわざみることもほとんどしない。もちろん名前を連呼しかしない選挙カーには耳をふさぐ。現職候補は議会議事録の検索システムとつきあわせて提示するようなものがあるとよいのだけれど。

午後は博多のfukuoka.R #13へ向かう。佐賀駅にいくと、指定席券売機が1台から2台に増設されていた。じつは1月22日にJR九州に要望をメールしていて、29日に返信をもらっていた。

ご指摘を頂戴いたしました佐賀駅につきまして、
改めてご利用状況を確認した結果、具体的な設置時期は
現在調整中となりますが、指定席券売機の増設が
望ましいとの結論に至りました。

まったく期待していなかったけれど、ずいぶんはやく実現していた。わたしの要望が効いたのかわからないが、改善されたのはありがたい。ただネット予約にシフトさせようとしているんだから、このくらい率先してやってほしかった。

fukuoka.R #13は、初心者セッション(といってもすごいスピードで初心者はついていけない・笑)、機械学習、Rパッケージの開発、Spotify API、スクレイピングとLeafletでの可視化と、勉強になった。こうした勉強会コミュニティを継続されている運営者のみなさんには頭がさがる。永遠の初心者でコミュニティにフリーライドしているのが申し訳ない。

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記者とデザイナー

きょうは、新聞記者さんとグラフィックデザイナーさんにお会いしてお話した。

記者さん曰く、文化面担当になると、記事に事実だけでなく感覚でとらえたことを書かなければならないので戸惑ったそうだ。署名記事として掲載されるので、ずいぶん気をもんでいらっしゃった。たしかに文化関連記事は事実だけではそっけない。一方、記者の解釈が過ぎると興ざめしそうだ。ほんとうは分厚い批評をふくむ記事があってもよいはずだが、日本の新聞紙面の文字数では難しいだろう。

デザイナーさんは、毎年インターンを受け入れていらっしゃる。かれが職場の掃除をしているときに、インターンへの評価が下されるそうだ。なぜなら、「何か手伝いましょうか」と言ってくる学生さんと、ぼーっと見ているだけの学生さんがいるから。どちらがたかく評価されるかは言わずもがな。デザイン能力うんぬん以前の問題だ。周辺状況を把握し、それに応じた気づかいができるか、というごく基本的な能力がみられている。

このデザイナーさん,毎日、30分とか45分とか時間を決めて習作をつくっている。Zack Liebermanも毎日欠かさずコーディングしている。小さな作品を作りつづけるのは、大きな仕事をやる前の準備運動をしておくようなものだ。創作の基礎体力が鍛えられるのは間違いない。わたしも毎日、コーディングとライティングはかかさずやろうとあらためて決意した。

締切がないと書けないといったのは記者さん、時間を決めて創作するといったのはデザイナーさん。デッドラインはクリエイションのみなもとだ。

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裁量労働制

新入生オリエンテーションがあり、いよいよ年度がはじまった感じがでてきた。しかし授業準備のほかに、教育研究以外にやらなければいけないことが山積していてなかなかに困っている。あるプロジェクトでは、半年先のことの仕込みなどを粛々とこなす。こんな計画的な遂行は、本当は自分自身のプロジェクトで行いたいところだ。

4月から職場が裁量労働制になり、人事課による説明会があった。これまでは月単位の変形労働制で、月単位の労働時間をきっちりそろえる必要があった。超過勤務はいっさい許されない。週末出張などある不規則な仕事なので、月々の労働時間を揃えることなど土台不可能である。どこかで嘘をついて帳尻を合わせなければならない。この実態を示さない申告作業が不誠実でつらかった。裁量労働制になることで、ひとつペインが減ることになる。

裁量労働制でも出勤簿と出退勤時間の記録は残る。人事課は超過勤務の状況をみはるためだというが、裁量労働制の労働者は、職場だけで仕事をしているわけではない。職場の外での「不可視の残業」がかなりあるのに、それは申告の対象ではないらしい。職場の滞在時間が少なかったとして、その労働者が過労でないといえるだろうか。

今回の説明会のやりとりでは、「そこは説明が苦しいが……」などと濁す場面があった。労使ともこうした事情を抱えていることは織り込み済みで、なんとか表面を繕っているだけだ。人件費の抑制と「働き方改革」という国のスローガンのなか、対応しているポーズはとらなければいけないのかな。

裁量労働制って、勤務状況ではなく成果や業績を評価し、労働者のワークライフバランスは本人の裁量にゆだねるということではないのか。本当にゆとりある働き方にかえたいのなら、深夜帯のメールサーバを停止するとか、勤務間インターバル制度を導入するとかすればいいのに。まず隗より始めよで、中央省庁こそ率先して休んでほしい。

説明会の最中、そんなことをぼんやり考えた。自身に関わる大きなことなのに、熱を帯びた質疑の応酬をなかば他人事のように眺めながら。

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本の買い方

ここ数年の本の買い方。

出版社や著者にはわるいが、新刊本はあまり買っていない。とくに話題のベストセラーにはすぐには飛びつかないようにしている。とりあえずAmazonのほしい物リストに追加して忘れる。しばらく時間をおいて、ブクスバで中古価格を見ながら買うこともあれば、そのときには熱がさめたり興味が移っていてやめることもある。中古相場は正直でおもしろい。価値ある本の値段はあまり下がらない。一時のブームで飛ぶように売れた本はほとんど投げ売り状態だ。ときに品切れになってしまう場合があり、くやしい。

安くなった本を10冊ほど一気に買う。そして結構な確率で積ん読になってしまう。あれれ読んでないや。あまりよいサイクルができていないぞ。

電子書籍は悩んでいる。多くの場合、電子書籍でもかまわないのだけど、物理本がないと他人と共有できないのがさびしい。賞味期限の短い技術本は電子書籍のほうがよいようにおもう。

おもしろかった展覧会の図録は、その場で買っている。もちろん購入の基準は私的な好みなので、たとえ世間で盛り上がっている展覧会だとしても無条件に買うことはない。

いらない本は売っていたけれど、たいした値はつかない。メルカリに出すとときどき売れる。Amazonでは売ったことがない。もう単純に捨てたほうがコストがかからないのかもしれない。

TABF Ginza Editionの自販機で出てきた本。こういう意外な出会いはうれしい。

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改姓

新元号のことを書いたら、「ネガティブすぎる、ポジティブに時代をつくっていこうよ」というコメントを賜る。ははは、めいっぱいポジティブに書いたんだけどな。あの晩、有識者懇談会のメンバーを知り、想像とちがってびっくり。肩書きでいうと、京大教授、NHK会長、民放連会長、日本私立大学団体連合会会長、経団連前会長、日本新聞協会会長、前最高裁判所長官、作家、千葉商科大教授の9人。メディア対策にポピュリズムなのか。おまつり気分にさせるためか。こんなことを書くと、またネガティブだと言われそうだ。

この年度替わりで、ごく身近で人事異動したひとは少なかった。けれども、よく知る男性の研究者が4月から公私ともに姓をかえた。既婚の男性はだれもが姓をかえる機会があるが、これまで数えるほどしかきいたことがない。わたしもかえなかった。そのことで、相手に姓変更のわずらわしさを押しつけてしまったことは申し訳なくおもう。

姓をかえることもかんがえた。実家が商売人だから、姓にはやや公共性をおびた「屋号」のような感覚がずっとあった。そのため姓をかえると、看板をかけかえることになり、これまでの自分の活動へのリンクが切れてしまいそうな不安におそわれた。とはいえ相手にだって同じような不安はあるはずだ。結局どちらかが折れないと婚姻が成立しないのは、不幸な社会制度だとおもう。

姓をかえた彼はブログであいさつをしていた。改姓をたのしんでいる気分をにおわせ軽妙に書かれてはいるものの、これまでも姓の変更をともなう大きな出来事が起きていたことが綴られていた。彼にとっては、自己と姓とのあいだには、それなりの距離が空いているようだ。人によって、姓とのつきあい方にはいろいろある。そんな当たり前のことすら想像できていなかったことにはっとさせられた。

なにはともあれ改姓というのは大きな転機。おめでとうございます。

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