改姓


新元号のことを書いたら、「ネガティブすぎる、ポジティブに時代をつくっていこうよ」というコメントを賜る。ははは、めいっぱいポジティブに書いたんだけどな。あの晩、有識者懇談会のメンバーを知り、想像とちがってびっくり。肩書きでいうと、京大教授、NHK会長、民放連会長、日本私立大学団体連合会会長、経団連前会長、日本新聞協会会長、前最高裁判所長官、作家、千葉商科大教授の9人。メディア対策にポピュリズムなのか。おまつり気分にさせるためか。こんなことを書くと、またネガティブだと言われそうだ。

この年度替わりで、ごく身近で人事異動したひとは少なかった。けれども、よく知る男性の研究者が4月から公私ともに姓をかえた。既婚の男性はだれもが姓をかえる機会があるが、これまで数えるほどしかきいたことがない。わたしもかえなかった。そのことで、相手に姓変更のわずらわしさを押しつけてしまったことは申し訳なくおもう。

姓をかえることもかんがえた。実家が商売人だから、姓にはやや公共性をおびた「屋号」のような感覚がずっとあった。そのため姓をかえると、看板をかけかえることになり、これまでの自分の活動へのリンクが切れてしまいそうな不安におそわれた。とはいえ相手にだって同じような不安はあるはずだ。結局どちらかが折れないと婚姻が成立しないのは、不幸な社会制度だとおもう。

姓をかえた彼はブログであいさつをしていた。改姓をたのしんでいる気分をにおわせ軽妙に書かれてはいるものの、これまでも姓の変更をともなう大きな出来事が起きていたことが綴られていた。彼にとっては、自己と姓とのあいだには、それなりの距離が空いているようだ。人によって、姓とのつきあい方にはいろいろある。そんな当たり前のことすら想像できていなかったことにはっとさせられた。

なにはともあれ改姓というのは大きな転機。おめでとうございます。

家族と法―個人化と多様化の中で (岩波新書)
二宮 周平
岩波書店
売り上げランキング: 94,300