2018年の年末は、とある理由で台湾の中部と南部にいた。年末年始を海外で過ごすとはおもってもみなかった。そんなことはセレブがやることだと思いこんでいた。ところが、とつぜん3週間前に手配し渡航することになった。結果として、年末年始に日本を離れるのは心理的にかなり快適であることが判明した。じつは日本年末年始の一連の習慣やムードが好きじゃなかったということを確認した。大掃除、紅白歌合戦、初詣で、初売り、しめ飾り、おせち、おもち、年末年始のどうでもよい番組……。こうしたことがらに無縁でいられることが、こうも幸せだったとは。そりゃ海外に行きたくなる。とはいえ高いので、毎回行けそうにはないけれど。
台湾では「年末年始感」がほとんどなかった。大晦日の夕方に乗ったUberの運転手から、別れぎわに「新年好」とあいさつされる。このドライバーさん、1500回以上5つ星評価を得ている理容師らしい。沿道の提灯店が珍しくて写真を撮ろうとしたら、さっと窓を開けてくれるし、サービス満点だった。元日にチェックアウトしたホテルのカウンターで、新年のカレンダーをもらう。いい加減な発音で「新年好」とあいさつしてみたら、相手は一瞬きょとんとしたが、返してくれた。台湾の人にとっては、旧正月が本番なのだろう。
この旅では、海外ではじめてレンタカーを借りた。左ハンドルのフォード車で右側通行。シートベルトをたぐろうとして左右を間違え、ウィンカーを出そうとしてワイパーを動かす。とくに初日は何度もやってしまった。ほかにも操作がちがうことがおおく、慣れるまで時間がかかる。車が走っていない田舎道では、無意識に左側を通行してしまい、同乗者に指摘され冷や汗をかいた。とはいえ台湾の道路はおおむね走りやすかった。都市部はバイクが多いが、たいてい車線が分離されていて、あまり心配いらない。郊外に出るとバイクの姿がなくなり、流れにあわせると、ほとんど高速道路のようなスピードになる。郊外の幹線道路には信号や交差点がほとんどなく、カーブやアップダウンも少なく、自動車に最適化されているように感じた。
しかし台湾のモータリゼーションは途上にあるようにみえる。いまはバイクが日常の足になっているが、だれもが自動車を買うようになると、道路はあっという間にパンクするだろう。郊外の都市をいくつか訪ねたが、まちなかに駐車場があまりない。路肩にあるのはバイク用の駐輪スペース。路上駐車のスペースがある道はほとんど「満車」で停められない。コンビニによりたくても駐車場がない。しかたなく向かいの商店の前の路肩に停めようとしたら、店主にすごい剣幕で怒られた。そりゃそうだ。言葉がわかれば何か買えたのだけれど、そういう交渉ができない。駐車場のあるコンビニというだけで、Google Mapsでは高いレビューがついていた。
現地はおもいのほか寒かったので現地で服を買った。この年越しでは、はじめての経験をすることがいろいろあって楽しかった。レンタカーの運転はさすがに緊張したけれど。
昨年は、福岡に毎週通ったり、アメリカに行ったり、北海道に行ったりと、やや動けるようになってきた。4月にゼミがスタートしたものの、時間割にないのでぎこちない始動となった。ともあれ先輩のいない1期生というのは、のびのびしていて悪くない。6月には共訳した『Generative Design with p5.js』が刊行。9月にはDxD公開研究会を開催することができた。2年目のSMAARTでは、笠井さん、牛島さん、高橋さん、鷲尾さんをお呼びすることができた。12月にはpotariがプレオープンした。
2019年もよろしくお願いいたします。