2009年10月、クロアチアの首都ザグレブで開催されたデバイスアート展「device_art 3.009」に参加しました。
クロアチアで日本のメディアアートに焦点をあてた展覧会が開催。明和電機ライブや、メディア芸術祭上映会も。(10/20-27)
http://media-arts.cocolog-nifty.com/map2009/2009/10/1020-27-b638.html
device_art 3.009
http://www.kontejner.org/device-art-3009-english
さいきんは展覧会やイベントの内容よりも、その運営がどのように行われているのかに関心を持っています。
このイベントには、日本人作家が多数招待されていたので、きっと大きな公的組織の事業かとおもっていました。ところが実際には、この展覧会は、KONTEJNER(コンテナー)というインディペンデント組織が主催したものでした。KONTEJNERでは、若い女性のキュレーターが中心にエネルギッシュに活動しています。 彼女たちは、自分たちの足で作品をリサーチして、 目星をつけた日本のアーティストに連絡し、企画し、スポンサーをあつめて実行しています。 想像するだけでも大変なことなのですが、彼女たちは、ちゃんと実現しているんですよね。この実行力にはほんとうに感心してしまいました。 この様子を見ていると、「あなたにも、やれないことはないんだよ」という言葉を、私たちにつきつけられている感じがしました。
デバイスアートは、KONTEJNERが3年おきに開催しているイベントです。日本でも「デバイスアート」という名前で活動している研究グループが存在しますが、クロアチアでの文脈とはかなり違うようです。今回、日本の作品が特集されたのは、両者の違いを焦点にしたかったのでしょう。たしかに、展覧会で見たクロアチア人作家の作品は、日本のものとはずいぶん趣きがちがいました。このあたりの話は、私たちが帰国した後におこなわれたトークイベントで行われたのだと思います。ぜひキュレーターや作家の方とお話したかったのですが、時間がありませんでした。
ザグレブでの滞在中は、いろいろな意味でホスピタリティにあふれていました。スタッフの身の丈でできることを、きちんとやるという姿勢にとても感心しました。渡航前は、事前の情報がすくなくてちょっと不安だったのですが、滞在中は毎日のようにボランティアの方々がアテンドしてくれたのには感激しました。会場の設営をおこなうテクニシャンたちも、てきぱきと仕事をこなしてくれて助かりました。日本とのコーディネーターをつとめていただいたアーティストの森田智嗣さんにはお世話になりました。また、カタログに解説を寄せていただいたIAMAS名誉学長の坂根厳夫先生にも感謝します。
さて、ザグレブには、たくさんのミュージアムがありました。小さな街なので、気軽に訪ねることができます。いくつかのミュージアムを紹介します。
近代美術館(Modern Museum)では、クロアチアの作家の近現代美術作品を見ることができました。教科書で見るようなヨーロッパ絵画とはちがう、今までみたことのないタイプの作品が多くて興味深かったです。
技術博物館は、乗り物や農機具、電気、宇宙など、さまざまな技術の展示が並んでいました。小学生のグループがたくさん見学に来ていました。みんなデジカメやケータイで写真を撮っています。ひとりでぶらぶら見ていると、博物館のスタッフに声をかけられました。地下に炭坑があって、ちょうど炭坑展示に向かっていた小学生のグループについていけば一緒に見に行けるよ、ということでした。すかさず集団のなかに入りこんで、リアルに再現された地下の炭坑展示を見て回ることができました。小学生たちには、不審な外国人がいるという目でジロジロ見られましたけど。ここは、炭坑やプラネタリウムなど、個人では見られない展示があるので、どうしても見たいものがあれば問い合わせるほうがいいかもしれません。
点字博物館というユニークなミュージアムもあります。 とてもよかったという評判を聞いて、私も行こうと思ったのですが、住所をひかえずに行こうとして迷ってしまいました。たどりついたときには、帰国日の待ち合わせ時刻がせまっていて、残念ながら中を見ることができませんでした。
あとで気がついたのですが、ミュージアムの入口に「来館者ノート」が設置されていたところが多かったんですよね。みんな、たわいもないことを書いているんですが、このような素朴なツールが大きなミュージアムに設置されているところが、クロアチアらしいなと感じました。
はじめて行ったクロアチアですが、人びとが親切で、料理もおいしく、ぜひまた行きたい場所になりました。
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