ブラック・インターンを容認してよいか


学生と面談。就活の話をきいたら、思い切りブラックなインターンだった。完全なる無償労働で採用の約束もない。

一般論だが、あるカリスマのもとで働くには、滅私奉公で下積みがもとめられることもあるだろう。芸人の付き人のように、昭和の時代にはよくある光景だった。しかし芸人の付き人と、いまのインターンとは、ぱっと見は似ているが、大きな違いがある。

昔の人は、雇った人間をさいごまで面倒をみていた。文字通り終身雇用していたという意味ではない。あるじが雇えなくなった場合、ほかの働き口をみつけたり紹介して、食いっぱぐれないようにしてあげていたはずだ。ふるい言葉でいえば、仁義を通していた。一方、いまの企業や経営者は、一介のインターン生にそんな情をかけることはしない。

伝統的な徒弟制は、不安定な弟子の身分をどこかで回収してあげていたのだ。それにひきかえ、現代の悪質なインターンは、若い人の労働量を搾取し使い捨てている。まったく割に合わない。

なにもこの時代に、そんなブラックな組織にはいって、わざわざ苦しい経験を積もうとしなくてもよいのではないかとおもわず口走った。もちろんインターン先にすっかり心酔していて、人生なげうってもかまわない覚悟があるのなら、止めることはできない。でもさ、そのキラキラしたカリスマに傾倒しているのは一時の熱病かもしれないよ。あとで振りかえったら、もっとよい選択肢があったかもしれないよ。

リスクよりも安定をというつまらない説教かもしれないが、やっぱりブラック・インターンは一線を超えていて許容できない。

ブラックバイト――学生が危ない (岩波新書)
今野 晴貴
岩波書店
売り上げランキング: 89,255